取り組み・井戸ライフでは、環境や自然に関する活動に取り組んでおります。

水戸暮らしの会会報(No.432)
12月定例会の報告(2009.12.18.)
 「千波湖から観た身近な自然観察」と題して、ひたち野自然観察会会長で、水戸市環境保全会議の事務局をされている西原昇治氏を講師にお迎えして講演会を開催しました。
先生は42年に亙って地質学と水質・水脈など自然と向き合って来られました。その実体験に基づいた貴重なお話を伺いました。

《講演内容》


◎◎◎自然環境を理解する◎◎◎
●自然環境を理解する三要素(時間軸・雨・かく乱)
1.時間軸:自然環境のあらゆる分野は時間軸で変化する。生命体など秒単位から、地質形成などの地球規模は億年単位です。様々な現象をとらえるには時間軸が必要になります。
2.雨:   生命体の源は水、その水は唯一天から供給される雨・雪・霰などの降水です。水の循環を理解することが自然環境学習の基本です。
3.かく乱:地球に限らず自然界は日々様々な変化によるかく乱を操り返している。素因である形は水などの誘因でかく乱し、人間界では災害として表われます。
●宮崎駿のアニメで環境学習
1.となりのトトロは今失われつつある故郷の原風景を舞台に子供から観た自然との共生を表現している。多くの国民が失っていた昭和30年代の里山を取り戻す気持ちにさせる。
2.もののけ姫は自然と共生して暮らす先住民と工業生産により豊かな生活を夢見る住民との戦いです。戦いで緑豊かな山林は荒廃するが、最後に新たな芽が蘇る。戦争は最大の自然破壊です。過去の醜い争いや身勝手な地域開発に鋭く踏み込んだ内容です。
3.千と千尋の神隠しは飽食の時代が過ぎても反省しない身勝手な人間模様を表現しています。溢れるほどの物に溺れて過ごした時代を反省して疲れを癒すわけですが、反省せずゴミの山を築き、神が怒るのは当然です。
4.崖の上のポニョは海洋と人間界の触れ合いを表現しています。海洋は生命体の源。ポニョはカンブリア時代(5億年前の古生代)の魚。きっとシーラカソスか三葉虫を人間化したのです。今地球規模で環境を語る時代になり、最も注目しなければならない海洋をアニメ風に表現しています。
●八幡平のチュウリブプの成長●
身近な自然界にも不思議な現象が多く潜んでいます。八幡平のチューリップの芽は枯葉を突き破り葉が成長しています。地表の枯葉の上にはまだ雪が積もっていますが地中ではチューリップの芽が成長し、春の訪れを察知し芽を出すのです。雪国の春は雪の下から始まり、雪解け後は一斉に草花は開花します。


◎◎◎形を観る◎◎◎
1.地球・日本列島の生い立ちを知る
 地球は46億年の歴史が有り、今日まで壮絶な攪乱により変化してきました。地軸が23度傾いて太陽の回りを公転するため四季があり、豊かな自然の循環をしています。日本列島は大陸から離れ独自の地質を構成しています。海洋のプレートの沈み込みにより多くの付加体が付着、伊豆半島もその一つ。

2.茨城県広域
茨城県は県西・県南・鹿行・県央・県北と行政区分していますが、地形の成り立ちからも同様5つに分けられます。
○県西地区は利根川、鬼怒川、小貝川などにより運ばれた土砂が深く堆積している。 
○県南地区はこれらの堆積物の流れが緩くなり、海との責めぎ合いで堰きとめられた地域です。霞ヶ浦は海が堰止められて出来た海跡湖です。
○鹿行地区は海岸線に沿って砂丘が伸びている。砂丘は隆起して他の台地より5m程高い標高を形成している。そのため大洗から波崎までの間一本の川も形成していません。
○県央地区は第三紀層の堆積岩に砂や泥が堆積する標高30mの台地が広がる地域です。台地の中央を那珂川が分断して流れています。
○県北地区は日本列島の誕生に深く関わる古生代から中生代の、古い地層が連なる山帯の地域です。

3.水戸周辺
○同じ平野でも水戸周辺は異なった独自の堆積環境です。水戸層と称する堆積岩を基盤岩にしてその上に那珂川から運ばれた土砂が堆積している。その後氷河期に入り赤城山などの火山灰が偏西風に運ばれて堆積して覆いローム層となった。縄文時代に入り、入り江が千披湖まで迫り、その後海が退き一段と低い低地を形成しました。


◎◎◎千波湖のすがた◎◎◎
1.千波湖周辺
 千波湖は海が退いて出来た海跡湖です。海跡湖は台地と明瞭に区分され、その間を形成する斜面の水辺環境に大きな特徴がある。現在の千波湖の水辺環境を観ることが出来るのは北斜面の湧水帯だけです。昔の千波湖の流れは桜川、沢渡川、逆川が流れ込み、備前堀を通じて涸沼川に流れている。
永い歴史の中で千汲湖は埋め立てられ、新たに造られた桜川によって切り離され桜川の付属物となる。独自の水の流れは止められ現在の姿になった。
水戸では上市、下市などと呼ばれ、台地と低地が明瞭に二分され、その境は急な斜面や崖で形成されている。斜面からは湧水が流れ、豊かな水辺環境を観ることが出来ます。これらの水辺環境は水戸市内を帯状に広く分布しています。
 千波湖の急激な水質悪化を改善する対策として、湖面を下げ、護岸周辺からの流水の活発化・水辺の生育環境を整うことで浄化作用が回復する。
千披湖は地図的には南になる所には森林が帯状忙延びている。地質学ではこちらを北斜面という。好文亭側から太陽を見ると陽が当たるので南斜面になる。北斜面に広がる湧水帯の導水と護岸の改良で多様な生き物が生息して湖水の浄化に繋がる。


◎◎水の循環を知る◎◎◎
1.水は太陽の熱エネルギーと地球の重力により循環している。水の循環は雨等が地表から地中に浸透して地中を流動し、崖や水域に流出し表流水となり海に注ぎます。水戸の台地の地中滞留時間はおおよそ数十年です。茨城県の場合は夏場に水需要が多くなり水位が下がり、秋から冬にかけて回復するがこのサイクルは年間を通じて規則的に観測できます。水戸の地下水は50歳。 地下水の変化を時間で見ると自然現象が良く判る。

2.水戸周辺の年間降水量は1,400mmで全国平均値1,800mmと差がある。水辺環境が豊かなのは降った雨が平らな地形で浸透しやすいローム層に浸透、台地の谷戸に貯留するからです。水戸周辺は樹木帯が散在して蒸発を抑えているからです。樹木の減少や地形の改変が進行すると水戸の水辺環境は減衰してしまいます。降水を有効に地下に浸透させ、水辺環境を保全する為には、緑豊かな居住空間を構築し、市民一人一人が緑の町作りに参加する事は可能です。
その他・・・水は4℃が一番重いので氷は浮くのです。

■■■ 笠原水源から見た水行政の問題
古い水行政が世界の笑い者になる???
 湧水の保全    環境省     逆川緑地   国土交通省
 水道の復元    文部科学省   逆川の流れ  国土交通省
 水源の水道水    厚生労働省    逆川の水利権  農林水産省
官庁の管轄が多岐に亙のでまとまらない!!!!!!!ということです。

西原先生は井戸水で生活されていますので、毎日水位の記録を取られています。井戸水の温度は15.5度で夏は冷たく、冬は温かく感じるのです。体験に基づいたお話で楽しかったです。

注:本文は水戸暮らし会でまとめた会報をそのまま掲載しました。

水戸暮らしの会 
 会長 森口 昌子
 住所 水戸市石川1-3993-13
 電話 029-252-0336


このページの先頭へ